~老齢動物の生活~


動物看護師 森泉 春香 


●犬・猫の平均寿命

◇ 犬猫の平均寿命は、近年伸びてきているといわれています。昔と今を比べてみますと。

20年前
    ・・・犬約10歳      
    ・・・猫約7歳
現在
    ・・・犬約14歳
    ・・・猫約14歳

◇ 品種や生活環境によって平均寿命には差がでます。

小・中型犬・・・約16歳
大型犬・・・約12歳
猫:完全室内飼い・・・約15歳
外飼い・・・約12歳

◇ 品種や生活環境によって平均寿命には差がでます。

・生活環境(食・住)の改善     
・獣医療の発展
・予防医学の普及:ワクチン接種、フィラリア症予防など
・去勢避妊手術の普及
などが考えられますが、一番は飼い主さんの犬・猫に対する健康意識が高まったからといえるでしょう。


●老化のサイン

一般的に7歳からがシニアの仲間入りといわれています。大型犬は小・中型犬よりも早く5歳からといわれています。この年齢になると徐々に老化のサインがではじめてきます。

◇ 老化のサインとは

老化は一般的に視覚・聴覚・嗅覚の順に衰えるといわれていますが、最初に気付くのは、外見・行動の変化です。例えば、白髪がでてきたり、お尻の筋肉が落ちたり、名前を呼んでも反応が鈍かったりなどといった老化のサインがではじめます。




●散歩を楽しくするコツ  

年をとり足腰や体力に衰えが見え始めたため、散歩などの運動をやめてしまう飼い主さんが多いです。
ですがその結果、血液循環の悪化、関節・靭帯の硬化、筋力の低下につながり、最悪の場合寝たきりになってしまうことがあります。
人間でも年を取ったからといって運動をやめたりせず、毎日散歩をしたり、時々仲間とマレットゴルフを楽しんだりしています。それと同じで動物も少しの運動、散歩をするだけで足腰や背骨まわりの筋肉が鍛えられ、寝たきりになるのを防ぐことができます。

1. オーダーメイドの散歩コースをつくる
そのこの体力に合った散歩コースを考えましょう。   
たとえば、今日は長く散歩できると思った日は下図の黄色線の長いコースを。 短めがいいと思った日は、下図の家の周りを歩く赤のコースを。

などと、その日そのこに合った散歩コースを選べるようにいくつか考えておきましょう。

2. 適度な刺激を取り入れる
散歩コースが毎日同じ道だと、刺激がなく飼い主さんも犬も飽きてしまいます。そのためいろんな素材の上を歩くコースを作り、足の裏に刺激を与えましょう。
たとえば、草の柔らかな感触が心地いい芝生や、適度な凹凸が肉球を刺激してくれる砂利道など。(下の動画参照)

3. 散歩の途中で遊びをいれる
2の散歩コースの歩く素材を変えるだけでもいいですが、できるのであれば散歩の途中に遊びを入れ体と脳に刺激を与えてあげましょう。   
たとえば、公園などにある車止めのポールなどを使いスラロームのようにジグザグ歩きを楽しむのもいいでしょう。(下の動画参照)

4. 散歩前後のストレッチ・マッサージ
急な運動は、心臓や関節の負担になります。また、運動後の筋肉は疲れているためストレッチやマッサージで筋肉をほぐしてあげましょう。
 ■ストレッチ(下の動画参照)
 ポイント:
 ・関節の自然な動きに逆らわず曲げ伸ばしする。
 ・曲げ伸ばしした時2~3秒保つ。      
 ・優しく掛け声をかけながら行う。(気持ちいいね、1・2・1・2など)
 ・嫌がるようなら無理はしない。


 ■マッサージ(下の動画参照)
 ポイント:
 ・飼い主も動物もリラックスしていること。      
 ・円を描くようにゆっくり動かすこと。      
 ・嫌がるようなら無理はしない。

足だけではなく全身マッサージすることで、できものを発見したり、いつもと皮膚の状態が違うなと病気の早期発見にもつながります。

5. 水分補給
出かける際は常に、水と携帯用の水入れを持ち歩き水分補給を心掛けましょう。特に夏場は歩いてるだけでも舌から水分が蒸発するため、こまめな水分補給が大切になります。
また、散歩の時間帯も重要です。冬場は昼間の暖かい時間帯に、夏場は熱中症に注意し、朝・夕の涼しい時間帯を選びましょう。


●室内遊び

雨で散歩できない日や、ほとんど外に出ない小型犬、猫にぜひ行ってほしいのが室内遊びです。

◇ ポイント
 ・室内点検をすること:滑りやすい場所、ぶつかる物がないかなど
 ・飼い主さんも一緒に楽しむこと
 ・たくさんほめてあげること

◇ アジリティー~障害物またぎ~
アジリティーといっても本格的に障害物を飛んだりする物ではなく、家で行える簡単な遊びになります。
 1. ゴルフクラブを等間隔で並べる。 (丸めたタオル、棒状に丸めた新聞紙でもよい)         
動画
 2. その上をゆっくりとまたがせる。
 *避けるようであればフードなどを使い誘ってみましょう。

◇ 宝探し
臭いをかぎ分けて動物に当てさせる遊びになります。 老齢になっても嗅覚は最後まで残っているといわれていますので、この宝探しゲームで鼻刺激し脳を活性化してあげましょう。

 1. 容器(フードの臭いがもれるよう小穴が開いたコショー入れなど)にフードをいれる。
 2. 容器を動物から見えないところに隠す。          動画
 3. 容器を探させる。
 4. 見つけたらフードをあげる。
 *最初は容器を隠すところを見せながら行う。徐々に容器を隠すところを見せないようにするなどして、難しくしていきましょう。

◇ 室内ウォーキング
後ろ歩きを取り入れた運動をすることにより、後ろ足の筋肉を鍛えてあげることができる遊びです。
 1. 壁とイスで前進とバックしかできない幅の通路をつくる。
 2. フードを使って前進、バックを繰り返し行う。
 *最初はバックできないかもしれませんが、繰り返す        動画 うちにできるようになるため根気強く行いましょう。
 *1日のフード量から抜き取って使うなどして、 フードのあげすぎに注意しましょう。


●快適な住まい作り

◇ 安心できる専用スペースをつくる~犬の場合~
年を取ると寂しがり屋になるこが多いため、家族の姿が見えて、声が聞こえるリビングなどに専用スペースを作ってあげましょう。また、寝床で眠って過ごす時間が増えるため、快適なベッドを選んであげましょう。  

<ベッド選びのポイント>
 ・選択できる素材     ・夏は涼しいもの   
 ・クッション性のあるもの     ・冬は暖かいもの


◇ くつろげる場所・隠れられる場所をつくる~猫の場合~
日向ぼっこのできる日当たりの良い場所、外の景色を眺めることのできる窓際などにベッドをおいてあげましょう。また、来客時やひとりになりたい時に隠れられるハウスなどを、静かで人気のない部屋に置いてあげましょう。

◇ 室内の温度・湿度に注意
老齢になると体温調節の機能が低下してくるため、温度変化に対応するのが難しくなってきます。そのため部屋の中に温度差がある場所を作ってあげるといいでしょう。冬場であればヒーター、夏場であればクールマットなどのグッズを使い調節をしてあげましょう。

~温度・湿度の目安~
 犬:温度23~25度   湿度:50~60%
 猫:温度25~28度   湿度:50~60%

◇ 危険ゾーンの見直し
若いころは大丈夫だった場所が老齢になるにつれ危険な場所になってくることがあります。そのため家を点検して危険ゾーンを見直してあげましょう。
代表的な場所4か所を挙げさせていただきます。

 1. 床
 フローリング:後肢の筋肉が落ちてくると、足の踏ん張りがきかず滑りやすい。
 カーペット:爪が引っ掛かり歩きづらい。
 改善策:ラグやタイルカーペットなどを敷く。


 2. 段差
 老齢になるとジャンプが上手くできなくなります。また、後肢の踏ん張りがきかず、段差の上り下りの際転落する危険がでてきます。だからといって、急にソファなどに上るのを止めさせるとストレスになってしまいます。
 改善策:踏み台を作り段差を小さくする。

 3. 階段
 老齢になると後肢の筋肉が落ちてくるため、 足を踏み外し転落する危険性があります。 これは老齢のこだけではなく、若いこにも起こる があります。
 改善策:滑り止めのマットを敷く。上らないようフェンスを置く。


 4. 家具の角や出っ張り
 視力が衰えてくると家具の角や柱の出っ張りにぶつかり、頭をぶつけたり足を痛めたりなどのケガをする危険性があります。
  改善策:梱包材の気泡シートやタオルなどで覆う。

●幸せな老齢生活を送るために
 ・年を取るのは自然なことです。目をそらさずに老化のサインに気づいてあげましょう。
 ・愛犬・愛猫にあった生活環境を整えてあげましょう。
 ・時には手を抜いて、最後の日まで愛情もって楽しく過ごしましょう。