皮膚病について  獣医師 牛込

1. 皮膚病の症状

ワンちゃんやネコちゃん、体をかいていたり皮膚が赤くなっていたりしませんか!?  
皮膚病は心臓病のように生死には関わらないから、大丈夫だろうと放っておくと、 右の写真のワンちゃんのようになってしまうことがあります。
(写真 : アトピー性皮膚炎)

 

この子の場合はアトピー性皮膚炎が悪化し、かゆみが悪化し、最終的には眠れない、元気がなくなるという症状にまで発展してしまいました。つまり、皮膚病が全身的な健康状態にも影響してしまったのです。
(写真 : 成長ホルモン不全症)

 

上に載せた2つの写真はどれも脱毛という症状は同じですが、原因となる疾患は異なります。皮膚病の主な症状はかゆみ、赤み、脱毛、フケなどですが、これらの症状を起こす皮膚病は多岐に渡ります。すべての疾病に言えることですが、疾病が異なれば治療法も異なります。よって、皮膚病においてもしっかり診断して、適切な治療をしていくことが大切です。


2. 皮膚病の分類と診断

皮膚病はおおまかに以下のように分類されます。

■皮膚病の分類
 1. アレルギー性
 2. 感染性(細菌性・真菌性・外部寄生虫性)
 3. 内分泌性(ホルモンの異常)

皮膚病の診断の流れは以下のようになります。



スクレーピング検査とは皮膚の一部を削り取り、採取した皮膚を顕微鏡で見る検査です。外部寄生虫や真菌を見つけることができます。
(動画 : スクレーピング検査の様子)
 


これはスクレーピング検査で見つかった実際のヒゼンダニの様子です。ヒゼンダニが動物に寄生するとひどいかゆみを引き起こします。
(動画 : ヒゼンダニ)
 

ヒゼンダニが寄生した場合は、内服薬で治療することになりますが、マダニやノミが寄生している場合はフロントラインという付け薬で駆虫することができます。フロントラインはマダニの駆虫を目的とするときは月に1度の塗布、ノミの場合はふた月に1度の塗布をする必要があります。
(写真 : フロントライン / 動画 : フロントラインの付け方)


 


3. アレルギー性皮膚炎

そもそもアレルギーとは何でしょうか?正常の生体内では異物を排除しようとする免 疫という機能が備わっています。ところがこの免疫が特定の物質に対して過敏に反応して、自分自身を傷つけてしまう現象をアレルギーといいます。結果的に鼻炎や皮膚炎など様々な症状を引き起こします。

治療はアレルギーの原因物質(アレルゲン)を取り除くことになります。食物アレルギーの場合は原因の食べ物を食べないことが治療につながります。当院ではアレルゲンを調べる血液検査が実施できます。

アレルギーと似た病気でアトピー性皮膚炎という病気があります。アトピー性皮膚炎とはもともと皮膚のバリア機能が弱い体質にアレルギー的要因と非アレルギー的要因が加わり皮膚炎が起こる病気の事です。

ただし、この2つの病気は明確には区別しきれない部分もあります。アトピー性皮膚炎の治療は内服薬(抗炎症剤、抗ヒスタミン剤、免疫抑制剤)、アレルゲンの除去、シャンプー療法など複数の治療を組み合わせて行います。治療というよりは「管理」という言葉の方が合っているかもしれません。


4. ステロイドについて

現在、アトピー性皮膚炎の炎症を抑える薬として最も使われているお薬はステロイドで す。ステロイドと聞くと「副作用が強い」という話をよく耳にするかもしれませんが、副作用がでる場合は多くは誤って過剰な量を内服した場合や肝疾患を持っている動物に使用した場合です。当院ではステロイドを使用する場合は血液検査などを実施し、まずは体の状態を把握します。しかし、体に少しでも負担がかかる以上はできるだけ使いたくないお薬でもあります。よって、症状がひどい時はしっかり使い、症状が少ない時は基本的には使いません。また、ステロイドの量をできる限り少なくするために他の内服薬(抗ヒスタミン剤、免疫抑制剤)、シャンプー療法、減感作療法などを組み合わせていくいことが大切です。


5. まとめ

皮膚病は多くの種類があり、治療法は疾患により異なります。そして、皮膚病の治療は 一回完結の治療ではなく長期に渡るコントロールが必要な場合が多くなります。よって、皮膚病の治療には動物とオーナーさんと病院の連携が大切になります。