眼の病気  獣医師 内藤

眼の病気は犬猫で非常に多く見られ、犬では30~40%が外来診察で何らかの眼科疾患が見つかっています。また緑内障のように手遅れの場合に失明する危険性があり注意が必要です。 しかし、眼は私たちが直接見ることができるため日頃から動物と向き合い、アイコンタクトを心がける事で物言わない動物たちの病気を早期に発見することができます。

<犬猫の眼科疾患の特徴>
【犬】眼の病気の80%は遺伝性 →犬種や毛色により発症しやすい病気が異なる。

《犬種別好発疾患》
柴犬 緑内障、白内障
ミニチュアダックス 網膜変性(進行性)、白内障
シーズー 角膜潰瘍、網膜剥離
キャバリア 白内障、角膜クリスタル沈着
チワワ 白内障、角膜内皮障害
M・シュナウザー 白内障、網膜変性(突発性)
ゴールデンレトリバー ブドウ膜炎、虹彩のう胞
トイプードル 白内障、網膜変性(進行性)
ヨークシャテリア 白内障、ドライアイ

《毛色による病気の発生率の違い》
(例)トイ・プードルの進行性網膜萎縮の発生率
グレー
ブラック
アプリコット
ホワイト
約62%
約56%
約36%
約8%


進行性網膜萎縮の眼底像

【猫】感染症(特にウイルス感染症)による眼の病気が多い。

《眼の症状を引き起こす主な感染症》
 ・猫ヘルペスウイルス
 ・猫伝染性腹膜炎ウイルス
 ・クラミジア
 ・トキソプラズマ
 ・クリプトコッカス

◎猫ヘルペスウイルス感染症(猫ウイルス性鼻気管炎)
【症状】
かぜ様症状 : くしゃみ、鼻水、発熱、食欲低下
眼症状 : 目やに(茶色が多い)、結膜炎、角膜炎
※子猫は重症になりやすい


※治療の基本は対症療法
※ワクチン接種による予防


☆特集
緑内障
緑内障とは
眼球内の眼房水が前眼房から排出されず増加することで『眼圧』(眼球内部の圧力)が上昇し網膜の視神経が圧迫されて視覚障害を引き起こす病気です。
【症状】
眼が赤い、眼が緑色(散瞳)、眼が白い、眼が痛い(しょぼしょぼする 、眼をこする)、眼やにが多い、涙が多い、何となく元気がない(動きたがらない)、物にぶつかる、眼が大きい(『牛眼』)

 

※牛眼:緑内障により眼球が大きくなり牛の眼のように大きく見える状態



【診断】
症状と眼圧測定によって診断します。
正常な眼圧:16±4 mmHg
大型<小型
若齢<老齢
日内変動あり
 
〈眼圧測定の様子〉
緑内障の場合眼圧: 25~30mmHg以上
※正常眼圧緑内障に注意が必要です。



【治療】
緊急性が非常に高い病気です → 早期の治療が大切!
 1. 点眼: 緑内障治療薬、抗炎症剤
 2. 内服: 降圧剤
 3. 外科的治療(レーザー)

※『牛眼』になり失明した場合
「シリコン義眼挿入」(眼球を温存)or「眼球摘出」
 

『失明』する可能性が高い怖い病気です。失明するまでにはさまざまな症状が出ます。
症状を見逃さず早期治療が大切です。健康時から眼圧を定期的にチェックしましょう!

こんな症状はありませんか?
※以下の様な症状がある場合は注意が必要です。一つでも当てはまれば当院へご相談下さい。
□ 眼が白い □ 眼が赤い □ 眼がしょぼしょぼする(→痛み、まぶしい)
□ 眼やにが多い □ 涙が多い □ 眼をこする(→痛み、かゆみ)
□ 何となく元気がない(動きたがらない) □ 物にぶつかる

眼ドック(定期診断)のすすめ
眼の病気も他の病気と同様に「早期発見」「早期治療」が大切です。緑内障など病気によっては治療の遅れが失明につながる危険性があります。また『 眼は全身状態を映す鏡 』といわれるように眼の症状が全身性の病気のサインになっている可能性もあります。このような場合は全身的な検査が必要になります。

<眼ドックの流れ>
1. 一般眼検査 2. シルマー涙液試験(シルマーティアテスト) 3. 角膜染色(フルオレセイン染色)
4. 眼圧測定 5. スリットランプ検査 6. 眼底検査 7. エコー検査

・シルマー涙液試験(シルマーティアテスト)
涙の量を測定する検査です。ドライアイなどがないかどうかチェックします。
 

・角膜染色(フルオレセイン染色)
角膜に潰瘍がないかどうかを調べます。潰瘍の部分が緑色に染まります。
 

・眼圧測定
点眼麻酔をした後測定をします。緑内障やブドウ膜炎の診断に重要です。


・スリットランプ検査
幅の狭いスリット光で角膜・前眼房・水晶体・硝子体の断面的な画像を観察します。




・眼底検査
網膜や視神経乳頭を評価します。




・エコー検査
外からはわかりにくい眼の状態(腫瘍、網膜剥離など)を知ることができます。


<正常なエコー像>
←→
   
網膜剥離では


   

もし病気が発見された場合
治療の基本は「点眼」
その他 
内服(抗生剤、消炎鎮痛剤など)
外科治療
サプリメント
 

※眼をこする危険性がある場合はカラーの着用も必要です。


※目薬のつけ方
〈点眼するときの注意点〉
 ・2種類以上つける時は5分以上間隔をあける
 ・点眼液の容器の先を眼や毛につけない
 ・もれて被毛に付いた液は拭き取る
 

眼を病気から守るポイント
1. 眼の病気は年齢にかかわらず発生します。ですから若いうちから日頃のスキンシップの中で しっかり眼をチェックしましょう。また、いざというときの為に眼に触れるように訓練しておきましょう!

2. 眼は普段の生活で直接見ることができます。 よって、わずかな眼の変化や行動の変化に気 づけば早期に病気を発見できます。手遅れは失明の危険性があります。ちょっとした症状が期発見の最初で最後の『ワンチャンス』です。
 


文責:獣医師 内藤