猫のあれこれ  獣医師 山浦早織

今回は新しい試みとして、皆様から事前に頂いた質問にお答えするコーナーを作りました。 その中でも今回は以前より要望の多かった猫に関する質問を中心にお答えしていきます。

1. 爪切りの方法と頻度について
<爪の構造>
 ・爪肉…神経や血管が通っている部分でピンク色をしています。  →ここを切ると痛い!!
 ・頻度:日常的にチェックして、白い部分が多くなってきたら爪を切ってあげましょう。

<爪切り道具>
1.ギロチンタイプ

2. はさみタイプ

?(>_<。)万が一!!出血してしまったら??   
 →片栗粉を指に取り、出血部分に付けておさえる。(10~20秒程度)

?爪が黒いので爪肉を確認できません!!   
 →爪の先から少しずつ切っていきます。   
 →切り口を私達の爪でつんつんつつきます。   
 →最初は硬かったのに、ある部分で硬くなくなってきた??
ココが爪切りのやめドコロ!!
硬くないということは、その先には神経、血管が通う爪肉があります。

2. 誤食をしているかどうかの見分け方。  
・誤食とは…おもちゃや床に落ちているものをうっかり食べてしまったり、人間の食べ物を こっそり食べてしまうこと。 (人間はOKでも動物が中毒を起こす食べ物があります。)

☆どんなものを食べてしまうことが多いのでしょう?? 〈誤食で多いもの〉

1. ひも類
 
2. ぼたん
 
3. ピアスなどのアクセサリー類

4. たばこの吸い殻
 
5. チョコレートなどのお菓子類
   

☆誤食してしまった時に見られる症状  
・嘔吐(急に吐きだした)  
・下痢(さっきまではいいうんちだったのに…)  
・元気消失(動きがにぶい)  
・食欲低下(いつもなら喜んで食べるおやつも食べないな~)  
・貧血(はぐきが白っぽくてふらふらしている…)
・神経症状(妙に興奮していたり、ふらふらゆらゆら…)

→これらの症状は実は、誤食したときだけに見られる症状ではありません!  
どのように調子を崩した時にでも見られる可能性のある一般的な症状なのです!!

☆ 誤食を発見できるかどうかは、オーナーさんたちの鋭い眼力(部屋や動物の様子の変化をみつける観察力)にかかっているといっても過言ではありません。
→もしかしたら…と思った時は動物病院へ!

☆ 誤食の子が来た時、動物病院では何をするの??
→ある症例を追ってみていきます。

1. レントゲン検査:本当に食べたのか、今おなかのどの辺にあるのか、レントゲンに写るものなのかをチェック。(ビニールなどはレントゲンに写りません)



2. 催吐処置:誤食が短時間の時は強制的に吐かせることで誤食物を吐きだしてくれることがあります。
<方法>催吐剤を飲ませると、数十分~数時間後に嘔吐が誘発されます。
 

3. 内視鏡:レントゲンに写らないものを食べてしまった場合、または催吐処置を行っても誤食物を吐きださなかった場合に、口から細長いカメラを入れて誤食物の有無、場所を確認します。  

4. 開腹:1~3を行っても取り出せない、場合の最終手段!「開腹」。     
手術によって異物を取り出します。  
<実際の写真>


<取り出した異物>


<その他の症例>

(ビニールを食べ、腸の一部に閉塞 してしまった症例)


☆ 誤食を予防するためには…
・誤食予防三原則
1. 置かない
2. 近づけさせない
3. こまめに掃除

☆ ただ、意外なものでも動物が中毒を起こしてしまうことがあります。
例)ブドウ:腎臓に毒性を持つ。  
観葉植物:ほとんどの観葉植物の葉には中毒成分が含まれているといわれるほど!!  
アボカド:ペルシンという成分が中毒を起こすことがあります。  
ハンドクリーム:皮膚にはよくてもお腹にはよくありません。
その他、動物で見られやすい誤食例、それによって何が起こり、どんな症状が出てくるのか表を作りました。ぜひ参考にしてください。

☆誤食例☆
誤食例
どんなことが起こる?
みられやすい症状
ボタン
輪ゴム、ビニール
糸などのひも類
食道や腸に詰まってしまうことがある 嘔吐、下痢、咳など
針や画鋲 消化管に刺さってしまうことがある 嘔吐や下痢(黒や赤色のものの混入は出血による可能性)、咳など
重金属
(鉛や水銀など)
鉛:貧血、肝臓、腎臓、脳に毒性
水銀:消化管、神経、腎臓に毒性
貧血、黄疸、神経症状など
腹部の痛み、下痢、神経症状など
ネギ類、にら 血液中の赤血球を壊してしまう 口の中が白っぽい(貧血)、黄色っぽい(黄疸)、血尿など
ブドウ類 腎臓に悪い(腎不全を起こすことも!) 水をよく飲む、尿の量が多くなった、嘔吐、神経症状など
アボカド 中毒 嘔吐、下痢、呼吸困難など
キシリトール 体内の糖分が低下する(低血糖) じっとしている、ふらふらしている
エビ、イカ、貝類 体内のビタミンB1を壊してしまう 歩行異常(ふらふらしている)
カフェイン
(コーヒー、緑茶、チョコレートなど)
代謝しづらい 興奮、けいれん、嘔吐、下痢など
タバコ ニコチン中毒 興奮、けいれん、嘔吐、下痢など
人用の薬など 薬の作用が過剰に出る 薬の種類によってさまざま
洗剤、漂白剤 消化管のただれ、中毒 嘔吐 など
※酸性洗剤では誤食直後に症状が出ることが多いが、アルカリ洗剤は半日たたないと症状が出ないことがあるので注意!
殺鼠剤 血液が固まらない 目や口に点状の出血、血尿、血便、呼吸が速いなど
防虫剤 ナフタレン中毒 嘔吐、貧血、無気力、発作 など
観葉植物 多くの観葉植物に中毒成分が含まれている 嘔吐など、種類によってさまざま
ハンドクリーム 成分によっては中毒 嘔吐、下痢など
魚や鶏肉の骨 食道や胃に刺さることがある 咳、嘔吐など
串や楊枝など 食道や胃、腸に刺さることがある 咳、嘔吐、下痢など


※ただし、あくまでほんの一例なので、何か普段と違うものを食べてしまった時はすぐに 動物病院までご相談を!