心臓病(心不全)について - 獣医師:佐々木悠


ワンちゃん、ネコちゃん、そして人間も、高齢になるといろんな病気になりやすくなります。 その中で、今回は「心臓」にスポットを当て、心臓の病気について解説していきます。

1. 心臓って何?
はじめに、心臓の働きについて説明します。
心臓は、全身へと血液を送るためのポンプとして、 とても重要な役割を担っています。  
哺乳類・鳥類の心臓は右図のように、4つの部屋があります。(左心房・左心室・右心房・右心室の4つ)  
また、それぞれの部屋の出入り口には、血液の 流れが乱れないように、逆流防止弁が備わっています。




2. こんな症状に要注意!
以下に挙げる、心臓病のサインを見逃さないでください!  
・咳をよくする  ・呼吸が荒い   ・運度を嫌がる、疲れやすい
・食欲がない   ・失神する  ・太った、痩せた など

もちろん「上記のサイン=心臓病」ということではありませんが、これらの症状がみられるようであれば、病院にて詳しい検査をお勧めします。  
続いて、当院でできる検査についてご紹介致します。

3. 心臓の検査 in さくら動物病院
検査 1. 聴診
聴診器で心臓の音を聴き心臓の雑音がないか確認します。

検査 2. 心電図
心臓の動きをグラフとして記録し、そのグラフに乱れがないか調べます。

検査3. レントゲン
心臓の形、大きさを調べます。
また、心臓病の悪化による肺水腫なども調べることができます。

検査4. 心エコー(超音波)     
超音波により、心臓の中の状態(各部屋の大きさ、血液の流れ、心臓の壁の厚さ…など)を調べることができます。

検査5. 血圧    
後肢またはしっぽにバンドを巻いて血圧を測定します。


4. 心不全を引き起す心臓病
心不全: 心臓病により心臓が弱り、充分な量の血液を身体全身に送ることができなくなる状態のことをいいます 。進行すると呼吸困難、失神、チアノーゼなどの症状が現れ、場合によっては突然死する場合もあります。この「心不全」を引き起こす心臓病について、いくつかご紹介致します。

心臓病1: 僧帽弁閉鎖不全症 (そうぼうべんへいさふぜんしょう)
・心臓の左の部屋と部屋の間 にある弁(僧帽弁)の異常
・弁の機能低下
・血液の逆流が起こることにより、 左心房に負荷がかかる

心臓病2: 拡張型心筋症(かくちょうがたしんきんしょう)
・心室の収縮力の低下
・心室の拡張が特徴
・心筋が正常に働かなくなる
・犬に多い
拡張した心臓

● 正常の犬のレントゲン

● 心臓病の犬のレントゲン

● 正常の犬のエコー ● 心臓病の犬のエコー

心臓病3: フィラリア症
・心臓に寄生する寄生虫
・蚊から感染
・薬で予防が可能!
・猫も感染する


フィラリアの予防薬
●モキシデック
 ・錠剤タイプ
 ・安全性が高い
 ・低コスト

●カルドメック
 ・ジャーキータイプ
 ・お腹の寄生虫にも効果あり
 ・おやつとしてあげられます

●アドバンテージハート
 ・スポットタイプ
 ・ノミの駆除にも効果あり
 ・お薬を飲ませられない子に おすすめ


心臓病4: 肥大型心筋症 (ひだいがたしんきんしょう)
・心臓の壁の厚さが厚くなる
・心臓の機能が低下
・猫に多い
肥厚した心臓

左:正常の猫のレントゲン / 右:心臓病の猫のレントゲン


5. 治療・対策

結論から言ってしまうと、心臓病は治りません。心臓病の治療の目的は、進行を遅らせることです。だからこそ、早期発見・早期治療がとても重要になってきます。

治療:: 投薬治療
・血管拡張剤(エナカルド、レリートなど)
・利尿剤(アレキサンなど)
・強心剤(ジゴキシンなど)
 →処方されたお薬は忘れずにあげましょう!

対策:: 1. 運動制限
 過度の運動は心臓の負担になるので、避けて下さい。
 急激な温度や湿度の変化も負担になります。エアコン使用時は特に注意!
2. 歯磨き
 口の中の細菌が腸で吸収され、血管を通り心臓に到達し、心臓病を悪化させることも あります。
3. 食事療法
 塩分・脂肪分は控えましょう。      
 おすすめは、療法食や手作りフードです。

これらのような治療・対策により、心臓病と上手にお付き合いしていくことが大切です。  今回の内容がその手助けになれれば幸いです。