老齢動物のシャンプーの仕方 - 動物看護師:森泉春香




グルーミング・シャンプーの必要性
高齢になるほど自分でグルーミングや毛づくろいをしなくなってくるため、健康チェックも兼ねて家でしてあげましょう。
 ・ブラッシングをしながら皮膚のしこりをチェック
 ・涙やけを拭き取りながら目やにの量や白内障のチェック
 ・口周りの食べかすを拭き取りながら顔の皮膚と涎の量のチェック
 ・肛門腺を絞りながらお尻周りのしこりのチェック等

高齢になると運動量も減り、以前は自然に削られていた爪も伸びてきてしまいます。
爪は伸びすぎると、フローリングで滑ったり、カーペットに引っかけたり、肉球に刺さったりするなどの問題がでてくるので、こまめに切ってあげましょう。

シャンプー・入浴時に気をつけること
 ・入浴はかなりの体力を消耗するため、身体への負担を考えて、短時間で入浴をさせるようにすること。(毛の長いこは短くカットするなど工夫する。)
 ・シャンプーは暖かい日を選び、寒い時期なら部屋を暖めてから行うこと。
 ・皮膚も敏感なため、刺激の弱いシャンプー剤を使用すること。
 ・熱めのお湯は刺激が強く、必要な皮脂まで取り過ぎてしまい、高齢になると乾燥しやすい皮膚がさらに乾燥します。なので、お湯の温度は36~37度位で。ただしこれは目安なので実際に使用する温度はそれ以下のなるべく低めの温度にすること。
 ・足腰が弱っているため、滑らないようにマットなどを敷く工夫をすること。

シャンプー・入浴の方法
1. シャンプー
準備するもの
・シャンプー剤
・バスタオル数枚
・ブラシ

方法
1. 低めの温度で被毛全体を、シャワーで濡らす。
2. やさしくシャンプー剤で全身の汚れを落とす。
3. シャンプー剤が残らないようにしっかりと洗い流す。
4. タオルで体全体の水分をよく拭き取る。基本はタオルドライだが、ドライヤーを使用する場合は冷風で。温風の場合は体からなるべく離して使用する。
5. 体全体をブラッシングする。
利点…全身の埃や汚れを完全に取り除けること。
欠点…長時間のシャンプーになるため体力の消耗が激しい
こと。 シャワーの音やシャワー自体が嫌いなコにとってはかなりのストレスになること。
★高齢動物・心臓病持ちのコにはあまりお勧めできません。 

2. 汲み置き洗い
準備するもの
・シャンプー剤
・バケツ、ボウル
・バスタオル数枚
・ブラシ

方法
1.低めの温度のお湯をバケツに溜める。
2. ボウル(もしくは水を飲む器)で被毛全体を濡らし、やさしくシャンプー剤で汚れを落とす。
3. ボウルでお湯をすくい、シャンプー剤が残らないようにしっかりとすすぐ。
4. タオルで体全体の水分をよく拭き取る。
5. 体全体をブラッシングする。
利点…シャワーと違い一度に大量のお湯を使うことができるため、素早くシャンプー剤を洗い流すことができ、時間の短縮が可能になる。
欠点…一度に大量のお湯を使うことはできるが、脇やお腹の辺の洗い流しが甘くなってしまうことがある。
★高齢動物・心臓病持ちのコにする場合は、呼吸が荒くないか、舌の色が悪くないかなど、 注意が必要。 

3. 沐浴
準備するもの
・沐浴剤
・ベビーバス
・ボウル、ハンドタオル
・バスタオル数枚
・ブラシ

方法
1. ベビーバスに低めの温度のお湯を張り、適量の沐浴剤をお湯に混ぜる。
2. やさしく静かに、後ろ足からそっとお湯の中にいれる。
3. やさしく皮膚の汚れを落とす。
4.すすぎを必要としないので、そのままタオルで体全体の水分をよく拭き取る。
5. 体全体をブラッシングする。
利点…シャンプー剤を洗い流す必要がないため、時間の短縮になること。 また、入浴中に万が一不調がみられた場合に中断しても、洗い流すシャンプー剤を使用していないため皮膚を痛める心配がないこと。
欠点…大型犬の場合ベビーバスを使えないため、浴槽にお湯を溜めるなどなどの手間がかかること。
★洗い流す手間がないため、高齢動物・心臓病持ちのコ・下半身不全のコにも安全にシャンプーすることができるが、水の嫌いなコにはストレスになるので、注意が必要。

4. ドライシャンプー
・ドライシャンプーまたはコンディショナー
・軽く湿らせたタオル数枚
・ブラシ

方法
1. ぬるま湯で軽く湿らせたタオルで、体全体の埃や汚れを拭き取る。
2. コンディショナーを体から5~10cm離して、被毛に適量をスプレーする。
3. 体全体によくすりこませる。
4. 体全体を十分にブラッシングする。
利点…シャワーや洗い流しを必要とするシャンプー剤を使用しないため、時間の短縮が可能になること。 皮膚の弱いコ、寝たきりのコ、水の嫌いな猫にも体に負担をかけずにシャンプーすることができること。
欠点…水を使わないため、埃や汚れが完全には取り除けないこと。
★どのコにも安全にできる方法。


最後に
 ・シャンプー・入浴が終ったあとには、必ず水を与えること。
 ・排尿ができる環境にしてあげること。

病院で使用しているシャンプー、コンディショナー
<<オーツシャンプー>>
痒みを抑える天然物質のオーツ麦が配合されているため、痒みのある皮膚、乾燥した皮膚、敏感な皮膚などに使用できます。

<<マラセティックシャンプー>>
皮膚病の原因となるマラセチアなどの細菌に対して、殺菌効果のあるシャンプー。なので皮膚病のコのシャンプー療法としてよく使われる。また皮膚病以外の通常のシャンプーとしても使用できる。

<<デュクソシャンプー>>
皮膚の角質層に多く含まれるフィトスフィンゴシンが配合されており、皮膚に柔軟性を与え、水分の蒸発を防いでくれる。乾燥肌のコ、脂症のコにも使用できる。

<<デュクソスプレー>>
シャンプーと同じ成分が含まれているため、乾燥肌のコ、脂症のコに使用できる。

<<マラセティックコンディショナー>>
シャンプーと同じ殺菌効果がある。また天然保湿成分などを含むので皮膚に潤いを与え、被毛と皮膚のつやを回復させる。

 左から、オーツシャンプー、マラセティックシャンプー、デュクソシャンプー、 デュクソスプレー、マラセティックコンディショナー

沐浴剤
<<モンシュシュ>>
大豆脂肪酸とヤシ脂肪酸など食品でできているため、誤って口に入ってしまっても安心です。また大豆の有用成分が傷んだ肌を修復してくれるため、フケの多いコ、脂の多いコに使うこともできます。