アレルギー疾患の新しい治療法~減感作療法(アレルゲン免疫療法)~

■アレルギーとは

アレルギーとは、環境中に存在する本来なら害のない物質に対して、体が過敏な反応を起こすことを言います。アレルギーの治療において、最も有効で基本的な治療法は、原因となっているアレルゲンとの接触を避けることです。しかし、実際には花粉、カビ、動物、ダニ等のアレルゲンを完全に避けることは不可能です。

■アレルギーの治療

1.アレルゲンの回避
2.抗ヒスタミン剤
3.副腎皮質ホルモン剤(ステロイド剤)
4.食事療法
5.シャンプー療法
6.サプリメント療法

等が挙げられますがアレルギーによる痒みがコントロールできないときはやはりステロイド剤が使用されます。ステロイド剤は大変よく効きますが長期間使用によりステロイド性肝症、糖尿病、クッシング症候群等の重篤な副作用が出てきます。つまりステロイドを使わない治療を目指して様々な治療を組み合わせているのです。減感作療法は免疫療法といわれ他の治療に比べ完治を目標と出来る唯一の治療法です。

■減感作療法

1.減感作療法について
減感作療法は人の医療では約100年前に、花粉症の患者に花粉エキスを注射し、花粉症を起こさせないようにしたことが最初と言われております。

1997年、ジュネーブで開かれたWHO(世界保健機構)の会議において、減感作療法は「アレルギーの自然治癒を促す唯一の治療法」であり、また、「新たなアレルギーの発症を予防する予防的治療法」とそれ、現在、欧米では獣医療も含め広く利用されています。

2.治療の目標
アレルギーを引き起こす原因となっている抗原(アレルゲン)エキスを、長時間かけて少しずつ注射し、体を徐々に慣れさせ、アレルギーが起こらない体質に変えていく治療法。動物の「体質」そのものを、抗原に過剰に反応しないようにします。

3.減感作療法のメリット
減感作療法は長い期間を必要としますが、大きな利点としてアレルギー反応だけを抑え、さらにホルモンバランスに影響を与えないことです。ステロイド剤や抗アレルギー剤の使用は、対症療法であると同時に、長期間の投与は、様々な副作用を引き起こす問題があります。

4.減感作療法の副作用
重篤な副作用として最も注意されなければならない問題はアナフィラキシーショック(急性アレルギー)ですが、このような例は稀といわれております。

軽い副作用として、30分程で皮膚の発赤、嘔吐、下痢、あるいは「かゆみ」として発現されることがあります。これらは、抗アレルギー剤、ステロイド剤あるいは抗ショック剤でコントロールできます。現在この治療でアレルギー症状がでた割合は、約300,000頭の動物のうち0.005%(アメリカにおいて)で、死に至ったケースはありません。

5.減感作療法の推奨症例
減感作療法が推奨されるのは

・原因アレルゲンが判明していて、回避・除去を行っても改善が見られない場合
・症状が重篤で長期に渡っている場合
・対症療法で十分な効果が見られない場合
・オーナーの減感作療法への理解(治療が長期に及ぶ、治療効果が現れるまでに
時間がかかる、成功率が100%ではない、費用がかかる、副作用)が得られる場合

以上の適応条件と、さらに動物の健康状態や年齢、基礎疾患の存在を考慮したうえで選択します。

6.減感作プログラム

・減感作薬に使用するアレルゲンはあらかじめ専門機関によるアレルギー検査を
受けていただきます。その上で減感作療法が適応されるか判断します。適応と
なった場合にはアレルギー検査に基づき減感作薬のオーダーを出します。
アメリカからの輸入となりますので取り寄せまでに3~4週間かかります。

・プログラムは283日、約9ヶ月間で26回の注射を行います。
個体反応の程度により注射期間と回数の調整を必要とする場合があります。
その後は月1回の維持注射により安定した減感作の状態を維持していきます。

7.治療成績
成功率は約60~70% 5歳以上3年以上のかゆみでは成功率は50%以下に下がります。効果の発現に早い例で1~2ヶ月、遅い例で1年かかる場合があり、1年を過ぎて効果がない場合は治療を中止します。

8.当院での治療方法
15日目までは隔日投与です。この間は減感作薬によるアレルギーが出やすいので、基本的に当院入院にて管理していきます。当院では病気入院の動物とは完全隔離されたクリーンルームを用意し、当院専用の屋外・屋内運動場を完備しておりますので、ストレス無く入院生活が送れます。

入院期間は定期的な薬浴シャンプー、抗アレルギー食を実施しステロイドの減量に努めます。その後はプログラムに沿って注射に来院していただきます。 基礎疾患(甲状腺機能低下症、副腎皮質機能高亢進症、内臓疾患)により治療効果が期待できない場合がありますので、治療開始前には血液生化学検査、血球検査、レントゲン検査を実施します。

9.費用
92種類アレルギー検査、血液生化学検査(必要に応じて)、レントゲン検査(必要に応じて)、減感作用オーダー注射薬(26回分)、減感作薬注射処置(1回)、食事代(アレルギー処方食)、1日入院管理費(診察料、外耳処置、副作用処置、アレルギー治療、薬浴シャンプー、散歩、遊戯)

各料金については御来院の際お伝えします。

※長期間の治療、コストもかかるので十分にお話し合いをして、治療方針等ご納得いただいたうえで 治療をスタートします。